Yamashita Lab.

山下研究室

山下研究室では放射線化学とその関連分野の研究に取り組んでいます。放射線化学(radiation chemistry)は,放射線が誘発する化学反応だけでなく,関連する物理・生物・応用等も含みます。

特に原子力システムや生体システムといった複雑系における放射線の影響を知るためには,多様な条件で実験を行うことは不可能であり,原理原則を明らかにしていくことが必要です。これまでは単純な系(例えば均一な水溶液や固体)を対象として研究が展開されきましたが,測定機器や測定技術の進歩にともないより複雑な系(例えば微粒子と水の混合系や不均質な懸濁液など)を対象とした研究へとチャレンジしていくことを目指しています。このために伝統的な吸光分光法を用いた時間分解測定(時間分解吸収分光法)だけでなく,最近では共鳴ラマン分光や発光分光も時間分解で行えるよう,茨城県東海村の実験体系を改良しています。

また,透析により純度を高めたプラスミドDNA(pUC18)を用い,放射線が誘発するDNA損傷の初期過程について,特にDNA周囲の水和水の影響に注目しながら,様々なタイプのDNA損傷を定量的に評価しています。この実験は東京の浅野キャンパスの実験室で実施しています。

その他に,JAXA等の研究者と共同で,原子状酸素によって高分子材料表面に生じる微細構造の生成メカニズム解明にも取り組んでいます。放射線の一つであるイオンビームは,物質中で減速されていき,最終的には低エネルギーの中性原子になります。このため,原子状酸素も放射線とは無関係ではなく,放射線の飛跡末端で何が起こっているのかについても興味を持って研究を進めています。

なお,当研究室には,学部では工学部システム創成学科Bコース(システムデザイン&マネジメントコース=SDMコース)から卒論生が配属され,大学院では工学系研究科原子力国際専攻の修士および博士課程の学生が配属されます。ご質問やご相談はお気軽に shin1 ((at)) tokai.t.u-tokyo.jp 宛に e-mail をお送りください。

We are studying radiation chemistry and related topics. Radiation chemistry is not simply chemistry triggered by ionizing radiations but involves other related physics, biology, applications, etc. In addition to classical time-resolved absorption spectroscopy, we are establishing time-resolved resonant Raman spectroscopy and time-resolved emission spectroscopy systems in pulse radiolysis setup in Tokai-mura site. Purified plasmid DNA pUC18 is used to discuss detailed influence of hydration water on radiation damage to DNA from the viewpoint of yield and type of damage. As a collaboration with a researcher from JAXA etc., fundamental mechanisms of atomic oxygen on polymer surface microstructure.

Undergraduate students in the lab. belong to B course (Systems Design & Management course, namely SDM course) of Systems Innovation, Faculty of Engineering. Graduate students in the lab. belong to Department of Nuclear Engineering and Management, School of Engineering. If you have questions or something you want to discuss, please send a message by e-mail to shin1 ((at)) tokai.t.u-tokyo.jp .


研究のモチベーションの紹介スライド


外部サイトの研究紹介

工学部若手研究者紹介

日本アイソトープ協会 最前線のアイソトープ・放射線研究紹介ー私が研究者になるまでー

プレスリリース 放射線がん治療におけるDNA切断反応を実時間で観測 ―“熱い”電子が切断反応に果たす役割―